「陰謀論」の見方。

きまぐれな日々様
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-843.html
の記事「支持率が14%に低下した麻生太郎は総理大臣の器にあらず」より。
麻生関連のネタは顔真っ赤になる人が多くて芳ばしいですよね。
という訳で、麻生内閣(というよりはその支持のされ方)に関して、ちょっと気になる事があるんで書いておく。



最近、ますます麻生内閣が国民の支持を失っている。これは当然の話である。既成権益の保護と責任逃れに四苦八苦する内閣に支持が集まる筈もない。
ついに支持率14%まで低下したという数字さえ出ている。支持を失えば調査される支持率を下がる、これも当然である。勿論調査によってばらつきはあるが、しっかりとした新聞・組織による最近の麻生内閣支持率の調査はおおむね20%より低い数値が出ている。
私はこの惨状が全てを物語っていると感じている。最近の麻生内閣は、まさに国民に見放された内閣だといえるだろう。これに関して私自身による拙い文章よりも、上記の記事を参照していただきたい。私が付け加えるべき事は何もない。



が、この「当然」に納得できない人種もいる。所謂ネットウヨクという連中である。
最初に断っておくが、私は保守が悪いとか右派が低能だと言いたい訳ではない(右派にも左派にも残念な人はいるし、同時にその事実がそれぞれの政治的立場を否定するものでない事も理解している)。ただし、現実から目をそらして「国に害を与える愛国運動」を繰り広げる連中は非難されるべきであろうと考えている。
ネットウヨクとは具体的にどういう風な思考なのかを見ていただこう。上記の記事のコメントにも早速一人出現している。



「どうして支持率が下がっているか知ってますか? マスコミがいかに偏見報道しているかご存知ですか?残念ながらあなたの主張はあまりにも安易です。」


文章もろくに書けない彼の代筆をしてあげよう。かれはこう主張したいのである。
「マスコミが民主党ばかり偏向報道しているから、支持率が下がるんだ!麻生を支持しない連中は皆マスコミに洗脳されている!」
これで脱力した人はまだ甘い。ネットウヨク様の中には、「支持率は本当は下がっていない!マスコミの陰謀だ!」と主張する人さえ居るのだから(ついでにこれを取り上げた新聞もあった。な、産経新聞さん)。
ついでに書いておくと、彼は「偏向報道」と「偏見報道」を間違えている上に、主張が安易だと非難する割には、偏見報道(笑)とやらに関する明確な根拠を一切提示できていない。



まず大前提として、マスコミは容易に偏向報道をするという事実を確認しておきたい。小泉フィーバーというものの一部はマスコミによって作られたという事は否定し難いだろう。勿論ネットウヨクの主張するそれとは異なるだろうが、マスコミは受け取り手が見たいものを報道するという傾向があるのは間違いない。
次に、彼の主張の誤りについて触れたい。「民主党への偏向報道」なんてものが本当に存在しているのか。
確かに自民党に関するニュースは多い。しかしそれは政権政党だから当然の事であろう(逆に民主党に関するニュースは明らかに自民党より少ない)。問題は、自民党に関するニュースにその支持率を引き上げるものが殆どないという事実なのである(小泉は報道の多さを利用してパフォーマンスを行い、支持率をかき集めた)。だからこそ、自民党の凋落にも関わらず野党が躍進出来ていないのであって、もし仮に「民主党への偏向報道」が本当になされていたのならば、現在において民主党の支持率がここまで伸び悩む事はなかっただろう。
今回の支持率の急落は麻生内閣無為無策が報道され続けた結果」なのであろう。国民が麻生内閣自民党を見限り、「その他の何か」を選んでいるという現実がある。もし麻生内閣がばら撒きを見直す・経団連公明党と手を切る・不当に低い法人税を引き上げる・巨大宗教法人に税金を課すといった本当に必要な「改革」をすれば、その報道量によって麻生内閣は再生出来るだろう。現状では望むべくも無いが。



ネットウヨクは自分の見たいものしか見ない。マスコミから伝えられる現実を否定するには、マスコミを否定するしかないのだろう。現実から目をそらす為に行われる、世界が巨大な陰謀を行い自分達から真実を隠しているという主張を「陰謀論」と呼ぶが、彼らの主張はまさにこれに当てはまる。マスコミを信じない彼らの信じるものは、一部のネットの情報である。
だが、彼らが信じる「ネット」というメディアこそが、現在最も偏向しているものなのである。2ちゃんねるなどの匿名掲示板は勿論、YAHOO!NEWSの読者による投票(「コミンテルン」タモガミが根拠として提示して失笑を買ったのは記憶に新しい)でも、少数の人間が特定の記事に複数投票して操作を行っている事が明らかとなっている(記事はhttp://www.asahi.com/digital/internet/TKY200902100184.htmlを参照)。特定の人間によって調査されたり、ノイジーマイノリティが操作しているような支持率と、学問的手法に基づいて行われている支持率のどちらが信頼に足るのかは言うまでもないだろう。



付け加えると、彼らが民主党を非難するのは「中国・韓国に弱腰だから」らしい。自民党が戦後長らく米国にすり寄って国民の血税を垂れ流し、巨大宗教団体の代理政党、選挙に障害者を利用した政党と手を繋いでいるのは無視して、「これからそうなる可能性がある」事を非難する人間が愛国的だとは、私には到底考えられない。
こいつらの愛国心とは、米軍に暴行された少女にセカンドレイプを繰り返した花岡信昭、及びその所属団体である産経新聞と同様であろう愛国者のふりをする「特定の国が嫌い」なだけの人間は、自国の少女が暴行を受けても非難さえしないどころか、被害者を中傷することさえ辞さないのである。



ネットウヨクは根拠の無い一部のネットの情報を妄信し、書籍・新聞・テレビを無視する。
たしかにマスコミには偏向しやすい性質がある。しかし陰謀論を妄信し、自分の気に入る情報以外は全て偏向されていると考えるのはそれ以上の誤りである。これこそが「安易な主張」であろう。