筒井康隆『薬菜飯店』

筒井康隆氏の著作と言えば、(基本的に)外れ知らず。昔のハチャメチャSFから実験文学系まで、全体的にクオリティが異常に高い。才能が尽きる気配が無いというか、とにかく天才としか言いえようがない人です。

その中でも『薬菜飯店』は個人的にはベストに近い名著。短編集ですが、収録されている全ての短編が面白い。
料理小説の白眉「薬菜飯店」、深みのある幻想小説「法子と霊界」や「ヨッパ谷への降下」(なんと川端賞受賞作!)、グロテスクで人間の愚かさを冷笑するような「イチゴの日」や「偽魔王」など、もう全部凄い。年間ベスト級の短編ばかりです(ただSF色は極めて薄い)。
しかも、最後にボムが入ってます。なぜポエミーな893??wあえてこれ以上は言いませんが、元ネタの歌集と読み比べてください。そして文庫版だと、何と元ネタの人が解説をしているという暴挙。完全に悪ノリですwww

とりあえず読んだことのない人には絶対的にお勧めです。多少グロ表現や皮肉がありますんで、そこだけ注意をしてくださいな。エンタテイメントとしての面白さは折り紙つきです。

また、この本は短編かつ味付けが豊富なため、非常に読みやすいです。普段本を読まない人でも楽しめるかと。